この記事のまとめ ▼▼▼
★感染対策の再徹底
★こまめな体調管理
★面会条件の策定
★感染症流行時を想定した勤務・相談・応援体制の構築
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、クラスターの発生で本来のサービスを維持できず「介護崩壊」に陥った施設もあります。
「自施設でクラスターが発生したらどう対処するか」と考えを巡らせている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、厚生労働省が発表している介護施設向けの資料をもとに、感染を予防するためにできることを解説します。
▼介護施設における新型コロナウイルス感染症の現状
発生から3年近くが経過しても、新型コロナウイルス感染症の勢いは衰えず、様々な株に姿を変えながら、2023年1月現在においても猛威を振るい続けています。
厚生労働省が発表する国内での新型コロナウイルス感染症の陽性者は2022年12月12日時点で合計2613万2159人(空港・海港検疫・チャーター便帰国者も含む)であり、死亡者数は既に51,829人となっています。
介護施設に限っての全国的な統計はありませんが、各都道府県では、介護施設で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生すると、各都道府県のホームページなどで公表しています。
また、性別、年齢別陽性者数を見ると、累積人数では、20代から50代の感染者数が、60代から90代までの感染者数を大きく上回っているものの、重症者数・死亡者数は圧倒的に60代から90代までの割合が多くなっています。
つまり、介護事業所を利用する60代から90代の層では、新型コロナウイルス感染症に罹患すると重症化がしやすい傾向があり、より一層の感染症対策が必要であることがわかります。
▶︎参照:厚生労働省「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」https://covid19.mhlw.go.jp/
▼介護崩壊を防ぐために日頃からできること
1、感染対策を再徹底する
平時から十分な換気、コンタクトポイントの消毒、手指衛生の徹底など標準予防策に加え、「空気感染・飛沫感染・接触感染」の感染経路別予防策を講じることが基本の対応となります。
ご利用者様の外出については、健康維持のために欠かせない重要なことですので、不必要に制限しないようにしましょう。
ただし、ご利用者様本人と外出先で対応してくれる方の体調管理の確認、密の回避、不織布マスクの着用や手指衛生など基本の感染対策は徹底する必要があります。
また、2回目のワクチン接種が終了して6ヵ月以上経過している場合は抗体価(抗体の量を表す数値)が下がっている可能性があるため、地域の感染の流行状況を確認し状況判断をすることが重要です。
ご利用者様のリハビリを行う際は同じ時間帯・場所での参加人数を減らし、ご利用者様同士の距離を保つことが大切です。
また、声を出す機会は最小限にして換気を定期的に行いましょう。
2、こまめに体調管理を行う
感染の疑いがある方を早期に見つけるため、ご利用者様については毎日の検温と体調管理を徹底し、食事などサービス提供時の表情や食事量などを確認して、いつもと違うと感じたら担当医に相談する仕組みにしましょう。
スタッフについても、出勤前の検温と体調管理を徹底しましょう。
体調不良は本人しか分かりませんので、体調が悪いスタッフ様が無理をして出勤しないよう、体調不良を申し出やすい職場環境をつくることも大切です。
3、面会や施設立ち入りの条件を設ける
ウイルスが外から持ち込まれることを防ぐため、ご利用者様の家族の面会や業者の立ち入りには一定の条件を設けましょう。
面会者や業者が施設内に入る際は、手指消毒や体温計測、体調チェックを実施しましょう。
面会については、十分換気ができ、フィジカルディスタンスがとれる場所を確保し回数や時間などのルールを決め、何か問題があったときに追跡できるよう施設に入った日時や連絡先を記録に残せるようにしましょう。
可能ならばオンラインでの実施も検討しましょう。
4、感染症流行時を想定した勤務・相談・応援体制を構築する
施設職員が新型コロナウイルスに感染と以下のような負のスパイラルに陥る可能性があります。
同僚達も濃厚接触者として自宅待機になり通常勤務できる職員が激減
→勤務できる職員の負担が増加したことで疲弊し、さらに風評被害を恐れて出勤を拒否する人も
→同一法人内の他の施設から応援職員を派遣するも、応援側は手順がわからず、受援側は職員不足により応援職員への引継ぎが困難で何を依頼すべきかわからず、応援側と受援側の双方の連携が困難
→もともと施設にいた職員の負担が更に増加してしまい、離職の危機
そのため、下記のような、平時から感染症流行時を想定した施設内の職員体制の確保と、応援職員と連携した業務継続のための体制整備が必要になります。
・ 必要な休養が取れるように管理者が配慮
・ 応援職員に依頼する内容を事前にまとめる(「誰が」「何を」「どのように」伝えるか)
・ 受援側として、平時から応援職員受入時のシミュレーションを実施
・ 平時からの応援体制の確保(同一法人内など)
・ 応援体制に関する自治体の情報及び手順を確認
・ 悩みを持つ職員のための相談体制の構築
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▼新型コロナウイルスの感染を防ぐためには
新型コロナウイルスへの感染は、ウイルスを含む飛沫が口、鼻や眼などの粘膜に触れることによって感染が起こります。
そのため、咳込みなどがあり、感染のリスクが高い状況ではゴーグル等を着用し、眼を保護しましょう。
口腔ケア等、感染のリスクが高いケアをする場合も同様です。
新型コロナウイルス感染症については、発症の2日前や無症状病原体保有者からの感染も多いので、自身が潜伏期である可能性を考慮して、無症状であってもマスクを着用することが必要です。
新型コロナウイルス感染症は、「いつ」「どこで」「誰が」感染するかわかりません。
仲の良い人ほど、距離が近くなりがちです。
「知っている人だから(感染対策をしなくても)大丈夫」と思わずに、たまに会う人でも、常に会う人でも、マスクの着用等、感染対策をしましょう。
感染対策の担当者を中心に、施設内を定期的に見回りましょう。
担当者に負担がかからないように、チームで対応しましょう。
(観察ポイント)
・適切な手指衛生の確認(手洗いのタイミング、手洗いの仕方等)
※施設をよくするための助言と心得ましょう
・ケア時の個人用感染防護具の着用
・消毒薬の期限や残量の確認
・定期的な消毒や換気の確認 など
▶参考:厚労省 高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症に関する事例集
https://www.mhlw.go.jp/content/000750414.pdf
次回は「認知症の正しい対応方法」についてです!
お楽しみに★