★公務員・病院・高齢者施設・障がい者施設など日常生活に困難を抱える人々が対象
★近年社会問題となっているヤングケアラー支援にも活躍
◇ 社会福祉士の仕事内容
社会福祉士の仕事内容は、日常生活に困難を抱える人々に対して、
・相談や助言、指導
・福祉サービスや保健医療サービスとの連携・調整などを行い、一緒に問題の解決を図ることです。
「日常生活に困難を抱える人々に対して」とありますが、誰がどのような問題を抱えているのかはさまざまで、相談者は児童の場合もあれば高齢者や障がい者の場合もあります。
そのため一言で相談業務といっても、勤務先によって相談者や相談内容、必要となる知識には違いがあることを理解しておきましょう。
◇ 代表的な就職先
地方公共団体(公務員)
公務員試験に合格すれば、都道府県や市区町村の役所の職員として地域福祉への貢献もできます。
健康福祉課や保健福祉課などで、困りごとを抱える住民の問題解決に向けた支援や、生活保護受給者への訪問などが主な仕事です。
また、保健所や保健センターでの勤務も可能です。
主に窓口での相談業務を担当します。
保健所や保健センターには、医師や看護師、薬剤師など、様々な職種が勤務しているため、多種職と連携しながら問題を解決していく必要があります。
地域包括支援センター・社会福祉協議会
各市区町村には、問題を抱える地域住民を対象として支援する社会福祉協議会・地域包括支援センターが設置されており、多くの社会福祉士が活躍しています。
ここでは、高齢者・障がい者・外国人・貧困家庭などへの相談支援、安否確認、環境整備などが主な仕事です。
必要に応じて各機関との連携も行います。
病院
病院で働いている社会福祉士は「医療ソーシャルワーカー」とも呼ばれますが、患者やその家族の相談や支援をすることが主な仕事です。
症状に関する不安に寄り添ったり、医療費の支援・免除を受けられる制度(高額療養費制度など)を説明したり、入院や治療に関する不安や悩みが軽減できるようにサポートすることが重要な仕事となっています。
また、必要に応じて関連機関との連絡や調整も行っており、患者の回復をサポートするための重要な役割を果たしています。
老人ホームなどの高齢者施設
少子高齢化の影響もあり、介護業界における社会福祉士の需要も高くなりつつあります。
介護施設で勤務する場合は、「支援相談員」や「ケアマネジャー」として活躍するケースが多く、多くの介護現場において生活相談員は利用者の相談に応じるなどの重要な役割を果たしています。
入所前面談や入退所の手続きをはじめ、利用者やその家族の相談対応などが代表的な仕事ですが、介護施設の説明や介護保険制度なども併せて行います。
生活相談員を募集している介護施設は増えていることから、今後も活躍の幅は広がっていくでしょう。
障害者支援施設
障害者支援施設に勤務して、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者など、様々な障害を抱えている方の支援をする働き方もあります。
勤務先によって仕事内容や果たしている役割は異なりますが、社会福祉士も利用者の自立支援など重要な役割を担っています。
「生活指導員」「支援相談員」など様々な名称で呼ばれるケースが多いですが、ハンデを抱えつつも自立したが生活できるようにサポートする役割を果たすことには変わりありません。
他にも、利用者の相談援助や施設の入退所手続きなどの業務や、家族との連絡調整を行うこともあります。
児童福祉施設
社会福祉士の資格を取得すると「児童福祉司任用資格」も取得でき、児童福祉司として働けるようになります。
そのため、児童の健全な発達を支援するために児童福祉施設で働くという選択肢もあります。
何らかの問題を抱えた児童や家族の相談に応じたり必要に応じて支援を行うなど、子どもをサポートするための重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
必要に応じて家庭訪問や家庭環境の調査を行うなど、児童が抱える問題を解決するために専門的な知識を活かせるので、やりがいが大きな仕事と言えます。
◇ ヤングケアラー支援にも社会福祉士が活躍
社会問題として取り上げられる機会が増え、近年急速に認知度が上がっている「ヤングケアラー」。
親の代わりに幼いきょうだいの世話をしていたり、精神的な病気を患っている家族の看病をしていたりと、さまざまなヤングケアラーの存在が社会的にも問題視され始めています。
そういったヤングケアラーを支援しようとする動きの中心で活躍しているのが社会福祉士です。
厚生労働省は、現在ヤングケアラー支援体制強化事業として以下の取り組みを行っています。
・自治体にヤングケアラー・コーディネーター(自治体と民間事業団体、相談者と福祉サービスをつなぐ役割)を配置し、情報収集や適切な支援につなげる
・福祉・医療・介護・教育などの関係機関や専門職に研修をおこなう
・オンラインサロンの開催、ピアサポート等を設置し相談窓口を整備する
また、各都道府県では専門の相談窓口の設置が進んでいます。
社会福祉士は保育士、臨床心理士などの専門職と協力して相談に応じ、ヤングケアラーを発見した場合、医療機関や介護事業所などの支援機関と連携しながら必要な支援をおこないます。
ヤングケアラーの問題は少子高齢化とも密接な関わりがあるため、これからますます問題が明るみに出てくるかもしれません。
社会福祉士はこのような社会問題にも深く関わり、支援することで社会貢献できるのです。
次回は「看護師のキャリアアップ計画」についてお伝えします。
お楽しみに★