医療機関で働く看護師のなかには、「クリニカルラダー」による評価を受けている方も多いのではないでしょうか。
一方で、「クリニカルラダー」という言葉を聞いたことはあっても、詳細は知らないという看護師もいるでしょう。
クリニカルラダーは、看護師の評価システムを構築してキャリアを向上させる仕組みのことです。
この記事では、クリニカルラダーの概要や目的、評価方法を解説します。
★はしご(ラダー)をのぼるように一段一段キャリアを向上させていく仕組み
★働く場所・働き方が変わっても自分の能力を明確に示すことができる
目 次
◇看護師のクリニカルラダーとは?
◇看護師の実践能力を5つのレベルで評価する
◇クリニカルラダーを構成する4つの力
◇クリニカルラダーの評価方法
◇まとめ
看護師のクリニカルラダーとは?
「クリニカルラダー」とは、臨床現場における看護実践能力と専門役割を階段的なレベルで規定したものです。
このクリニカルラダーに基づいて、看護師一人ひとりのキャリア開発を行うことができます。
看護師の実践能力を5つのレベルで評価する
レベル1 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する
レベル2 標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する
レベル3 ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する
レベル4 幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する
レベル5 より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択し、QOLを高めるための看護を実践する
参照元:日本看護協会「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」
クリニカルラダーを構成する4つの力
日本看護協会はあらゆる場の全ての看護師に共通する看護実践能力について、以下の4つの力を必要とすると定義しています。
クリニカルラダーでは下記4つの項目において、経験年数関係なく習熟段階をレベル1〜5という形で示します。
ニーズをとらえる力
ケアの受け手をとらえ、判断し、その人に適した方法を選択する
ケアする力
ケアの実施・評価を行う(PDCAサイクルや看護過程の展開)
協働する力
ケアの受け手を中心に、情報やデータを多職種間で共有し、ケアの方向性を検討、連携する
意思決定する力
ケアの受け手が立ち会う場面(治療、最期の迎え方など)において、その人らしい選択ができるための意思決定を支える
「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)に基づく研修においては、この指標を用いて、それぞれの看護師が自らの習熟段階と対比させ、自身が学ぶべき学習内容を含んだ研修を選択できるように提示しています。
クリニカルラダーの評価方法
クリニカルラダーは、以下の5段階で評価を行います。
S:非常に良い
A:良い
B:普通
C:努力が必要
D:非常に努力が必要
評価をする際は、上司による「他者評価」だけでなく、「自己評価」も同時に行います。
他者評価と自己評価を行うことによって、評価する側は評価される側の自己認識を把握でき、評価される側は自分の認識と客観的な評価の差を確認できます。
評価する側と評価される側が相互の理解を深めると同時に、信頼関係の構築も図ることが可能です。
また、評価される側は自己評価をつねに意識することで、主体的にキャリアを進めている実感ができ、積極的に目標に向かって歩んでいけます。
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まとめ
クリニカルラダーでは、ステップごとに求められる課題が明確なので、目標を立てながらスキルアップできます。
そして、できることが広く深くなっていくにつれ、やりがいも大きくなり、さらなる意欲が生まれます。
また、看護師業界で共通する臨床看護実践能力の指標なので、働く場所・働き方が変わっても自己能力を明確に示すことができます。
転職先がクリニカルラダーを採用しているかどうかもぜひチェックしてみましょう。