★「介護職員として心掛けるべきこと」「業務内容」「ご利用者様との関わり方」を丁寧に伝える
★”叱る”と”褒める”をきちんと使い分ける
「新人介護職員の教育担当になったけど教え方がわからない」
「指導するうえでどんなことに注意すればいいの?」
このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
介護現場に新人が入ったら、なるべく早く知識とスキルを身につけて、独り立ちをしてほしいもの。
ですが、そこまでうまく指導するのが難しい・・・
そんな悩みを抱える介護リーダーも多いのではないでしょうか。
本記事では、新人介護職員への仕事の教え方や指導で注意すべきポイントを中心に解説します。
1. 新人介護職員が育つ仕事の教え方とは?
●介護職員として心掛けるべきことを伝える
介護の仕事は利用者の快適な暮らしをサポートするサービス業。
利用者の命を預かる責任の重い仕事です。
質の高いサービスを提供するために、利用者の方と信頼関係を築いていくことが大切です。
・利用者の尊厳を守る
・利用者と向き合う
といった介護職としての心構えを持っておかなければいけません。
日々慌ただしく業務に追われるなかで、つい忘れてしまいがちになる介護職の基本の心構え。
繰り返し丁寧に伝えていきましょう。
そして何より、よいお手本となるように、教育係は常に態度や行動で示してあげてください。
●ご利用者様との関わり方を伝える
介護職の心構えともつながりますが、介護職員は何よりもまず基本の接遇マナーを身につける必要があるでしょう。
基本の接遇マナー5原則
1.挨拶
2.身だしなみ
3.言葉遣い
4.表情
5.態度
「常に明るく笑顔でいることを心がける」「自分から元気よく挨拶をする」といった基本的なこと、利用者の話を聞く「傾聴」や「気遣い」も重要な接遇です。
接遇に正解はなく、一日二日ですぐに身につくものでもありません。
だからこそはじめの指導はとても肝心です。
「常に利用者の立場を想像し、思いやりの心を持ってサービスを提供する」ことの大切さを伝えていきましょう。
●具体的に業務内容を伝える
研修では入浴や排せつ、移乗などの実践的な介助方法やリスクについて教えることも必要です。
介護技術は机上の学習だけでは理解しにくいこともあるため、演習を交えながら行いましょう。
介護はコツをつかむことで介護をする側もされる側も身体的な負担が軽くなり、事故も防ぎやすくなるため、新人のときに技術をしっかり習得しておくことが大切です。
「介護におけるコミュニケーションの重要性」
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2. 新人介護職員の教育の進め方
◆マニュアルに沿った研修プログラムにする
「指導者や先輩スタッフなど人によって言っていることに違いがあること」は、新人介護職員を大いに戸惑わせます。
そのため事前にマニュアルを作り、職場全体でこれを共有しましょう。
一貫したマニュアルを作って、研修プログラムを実施することで「人によって言っていることが違う」という事態が起こりにくくなります。
またこれは、訓練と実績を積んだ介護職員が、自らの仕事を客観視するための手助けともなり得ます。
◆チェックシートを活用する
「この人は何ができていて、何ができていないか」をチェックするシートを作ることも有用です。
できること・できないことを可視化することで、その人が苦手とする分野を重点的に教えていくことができるからです。
ただし、チェックシートはあくまで、その人の能力を可視化するためにあるものです。
できていないところを批判するためのものではありません。
できているところを褒め、できていないところをフォローするためのものだと考えてください。
◆OJTで教育する
介護は、現場で行われる仕事のため、実際の業務に従事しながら研修を積んでいくOJTのかたちが非常によくマッチします。
このときには指導側が、
1.まずやってみせる
2.それについて解説する
3.新人介護職員にさせてみる
4.フィードバックする
というやり方を取ります。
これを繰り返すことで問題点が可視化しやすくなりますし、新人介護職員一人ひとりに合った指導ができるようになります。
デスクでの勉強・研修ももちろん大切ですが、そこで得た理論や知識はOJTを経て結実すると考えるとよいでしょう。
3. 新人介護職員への指導で注意すべき6つのポイント
★介護方針、教え方、責任者を統一する
まず必要なことは、施設の介護方針を統一し、教え方も教える人によって変わらないようにするということです。
マニュアルを作り、その勉強がしっかりできているか、期間を決めて進捗状況を確認するといった方法が効果的です。
また、指導の責任者を明確にして、メンバーで共有しておきましょう。
指導役の知らないところで、ほかの先輩介護スタッフが違う指導をするなどを避けることができます。
そうすることで、新人介護職員でも混乱することなく、介護施設に合った働き方ができるようになります。
一本筋の通った教育が理想的なのです。
★根気強く向き合う
マニュアルを覚えたからといって、全てマニュアル通りに上手くいく訳ではないため、実際の介護現場での指導が大切になってきます。
特に未経験の方に介護技術を教えるのは非常に難しく、伝え方を変えてみたり、理解するまで教えたり根気強く指導する必要があります。
新人介護職員は自分が育てるという意識を持ち、しっかり向き合って指導を行いましょう。
★研修制度など教育環境を整える
介護職は長い時間をかけてスキルアップをしていく職業です。
新人介護職員に向けて研修会を行ったり、外部の勉強会を紹介したり、長い目で見てスキルの高い介護職員を育てられる環境を作りましょう。
また、自分もそういった勉強会に参加することで、より良い新人教育を行うことができます。
★理由や目的を伝える
やってほしいことを伝えるとき、なぜそれをするのか、その理由や背景もあわせて伝えるようにしましょう。
なんのための行動なのかを知っていれば、勝手な判断で省いたり簡略化することを防げます。
★叱り方に気を配る
育成指導では、叱りかたに気を配る必要があります。
新人のモチベーションを下げてしまっては意味がないからです。
新人にとっては、叱られることが大きなプレッシャーになることも考えられるので、十分な配慮が必要になります。
「誰もいないところで叱る」
「どこがどういけなかったのか具体的に指摘して叱る」
「感情的にならない」
ことが大切です。
叱ることはあくまでも指導の一環であり、相手の成長を促すものであることを認識しなければなりません。
★効果的に褒める
効果的に褒めることで、新人スタッフのやる気を引き出し、成長を促せます。
新人に自信をつけるという意味でも、褒めることは効果的です。
ただし、効果的に褒めるためには、新人をしっかり観察しなければなりません。
また、褒めるべきポイントの見極めも大切です。
例えば、目立たない努力を褒めることによって、「しっかり見てくれている」ことを新人スタッフに実感してもらえるでしょう。
4. まとめ
誰にでも新人の時代があります。
現在はプロの介護職員として働く人にも、新人介護職員だった時代があるはずです。
指導する立場になったときは、プロの介護職員としての技術と冷静さ、そして新人介護職員だったときの戸惑いや不安な気持ちの両方を持っておかなければなりません。
また、より良い指導をしていくためには、職場全体で意識の共有が必要です。
そしてこの意識の共有には、マニュアルやチェックシートが強い味方となってくれるでしょう。
介護職員としての一歩を歩み始めた新人を、長く温かい目で育てていきましょう。