★全国平均の時給が初めて1,000円を超える
★地域格差も過去最高。自分の働いている都道府県を確認しよう!
2023年8月18日、2023年10月以降の都道府県ごとの最低賃金が出そろいました。
過去最高の引き上げ幅となった今年ですが、最低賃金の対象者は?
アルバイトやパートにも関係があるのか?
などを解説します。
1、最低賃金とは
最低賃金は、「最低賃金法」という法律で定められた1時間の労働に支払う賃金の最低額です。
雇用する側は決められた額以上の賃金を支払わなければなりません。
2、2023年度の都道府県別 最低賃金
2023年8月18日、厚生労働省により2023年度の都道府県別の最低賃金額が発表されました。
これは7月28日の中央最低賃金審議会が示した最低賃金改定の目安などをもとに、各地方最低賃金審議会が答申した結果を取りまとめたものです。
今回答申された改定額では、最低賃金が39円~47円引き上げられ、全国加重平均額は1004円(前年961円)と前年比43円の増加となり、初めて1000円台になりました。
最高額は東京都の1113円となり、弊社近隣府県でみますと、改定後の最低賃金は、大阪府1064円、奈良県936円、和歌山県973円となり、大阪府はついに1000円台となりました。
【各都道府県の最低賃金】
出所:厚生労働省令和5年度 地域別最低賃金 答申状況
最低賃金の詳しい解説はコチラ▶
【都道府県別の最低賃金】全国平均以上は7都府県のみ
全国平均が1000円台と聞くと、全国のほとんどの地域で1000円を突破したような印象を持ちますが、実はそうではありません。
最低賃金は加重平均を採用しているため、働き口の多い都市部の数字に引っ張られます。
そのため、全国平均の1002円を上回っている地域は以下の7都府県のみです。
東京都:1113円
神奈川県:1112円
大阪府:1064円
埼玉県:1028円
愛知県:1027円
千葉県:1025円
京都府:1008円
反対に、全国平均を一番下回っているのは、以下9県です。
青森県:892円
秋田県:892円
高知県:892円
佐賀県:892円
長崎県:892円
熊本県:892円
宮崎県:892円
鹿児島県:892円
沖縄県:892円
注目したいのは最低賃金の金額差が年々拡大していることです。
2013年には最低賃金がもっとも高い地域と低い地域の金額差は205円でしたが、2023年には221円に広がっています。
先述したように全国平均は加重平均であるため、都市部の数字に引っ張られます。
そして地域による価格差は年々拡大しています。
これらを踏まえ、地域ごとの正確な情報を知るためには、きちんと住んでいる都道府県の数字をチェックするようにしましょう。
3、最低賃金以上が適用される対象者は?
◆パート・アルバイト問わず全労働者が対象
最低賃金は雇用形態に関係なく、パートやアルバイト、派遣、臨時、嘱託など、
企業に雇用されるすべての労働者に適用されます。
また、大学生や高校生など学生か否かも関係ありませんが、特定(産業別)最低賃金に該当する場合は、18歳未満又は65歳以上は適用外となります。
◆派遣元と派遣先の地域が違う場合は?
派遣元である派遣会社の所在地と、実際に働いている派遣先の地域が違っている場合、適用される最低賃金は、その人が働いている派遣先の地域になります。
◆試用期間中の人も対象?
試用期間中でも最低賃金額が適用されます。
企業が各労働基準監督署に特例申請し、都道府県労働許可長の許可を受けると、
最低賃金の20%以内の範囲で減額が認められますが、申請するケースは多くありません。
4、最低賃金の対象の賃金は?
◆改正対象はいわゆる基本給
残業や休日、深夜手当、賞与、基本給とは別に支給される交通費手当などを除いた”基本給”が対象です。
パートやアルバイト、派遣社員など時給制の場合は、基本時給が最低賃金を上回る必要があります。
最低賃金の支払いは法律で義務付けられています。
そのため、会社としては、途中で労働契約書などを修正しなくても、自動的に最低賃金以上の支払いをすることが求められています。
パートやアルバイトで働いていて、最低賃金に時給が届いていないことに気づいたら、まずは、パートやバイト先の上司か店長に相談してみましょう。
相談したのに改善されない場合には、職場のある地域が所在する労働基準監督署に相談することをおすすめします。